

引用 本文より抜粋
みこうふぐ処理試験、いわゆるフグ調理師 の試験が最初に京都で実施されたのが 昭和25年。その年に資格を取り、以来 約半世紀、京都初のフグ調理師免許を 持つ現役料理人が、店主の今堀昭三さ ん。2代目である息子さんと共に今も 板場に立ち、下関・唐戸漁港直送の天 然フグ、京野菜、自家製ポン酢の3本 柱を昭和21年の創業から守り続ける。 店は河原町の中心から2年前に今の 場所へ。喧騒からやや離れ、「創業か ら変わったんは店の場所くらいです わ」、と今堀さんが言うその店のたたず まいは、いかにも京都。大正末期築の 材木問屋の建物内に坪庭を眺める座 敷、掘りごたつ、京間など、昔ながら の町家そのままの風情が、食の席にし っとりとした趣を添えてくれるのだ。 程よいくつろぎと凛とした空気、そ こで囲む鍋は、きっとひと際温かい。 20名までの宴会にも対応す る1階の座敷。京都の社寺と同 じ京唐紙の襖も情緒豊か。奥 の坪庭は、夜になると柔らか な明かりに照らされる。和モ ダンな掘りごたつ式の席は、 気の合う仲間と利用したい。 京菊菜、引き上げ湯 葉など京都ならではの 具が入るてっちり(手 前)、生で食べられる 白子が添えられるてっ さ(奥右)、ふぐゆびき (奥左)。てっちリセツ・ トはこれに雑炊とデザ ートが付き9000円。ふ ぐのから揚げには、酒 との相性もいい皮の唐 揚げという珍品も添え られる。てっちリセッ 卜に唐揚げが付くふぐ からコースは1万500円。 材木問屋時代そのままの雰囲気が今 に生きる土間で靴を脱ぎ、奥へ。建具 のしつらえも歴史を感じさせる。おそ らく京都で最も古いであろうフグ調理 師は、フグのさばき方も、その早さも “お見事"のひと言に尽きる (価格等は取材時のものです)